旅行好き大学生ライターHPです。
海外旅行の準備をしていると、ふと疑問に思うことありませんか? 「海外にいるとき、日本の家族や友人から自分のスマホに電話がかかってきたらどうなるんだろう?」 「うっかり電話に出てしまったら、高額な料金を請求されるんじゃないか?」
私も初めての海外旅行では、この「海外での着信」問題にビクビクしていました。結論から言うと、海外で日本の電話番号にかかってきた電話に出ると、残念ながらあなた(着信した側)にも料金が発生します。
「え、どうして!?日本にいるときは着信は無料なのに!」と思いますよね。 この記事では、なぜ海外で電話に出るだけで料金がかかってしまうのか、その不思議な「仕組み」を誰にでもわかるように徹底解説します。さらに、大手キャリア別の具体的な着信料金や、知っているだけで数千円、数万円の損を防げる賢い節約術まで、私の経験を交えて詳しくお伝えします。
この記事を読み終えれば、あなたは海外での電話にまつわる不安から解放され、無駄な出費を心配することなく、心から旅行を楽しめるようになっているはずです。
なぜ?海外で電話に出ると料金がかかる衝撃の「仕組み」

日本国内では、電話がかかってきても料金は発生しません。通話料を負担するのは、すべて電話をかけた側(発信者)です。この常識が、海外では通用しません。海外で日本の電話番号への着信に応答すると、「着信料」という料金があなたに課金されます。
この「着信料」が発生する仕組みを、一緒に見ていきましょう。ポイントは「国際電話の中継」という考え方です。
料金発生のプロセスを3ステップで解説
あなたがアメリカに滞在していると仮定します。日本の友人Aさんが、あなたの日本の携帯電話番号(090-XXXX-XXXX)に電話をかけました。
- 【ステップ1:日本国内での通話】
- 友人Aさんがかけた電話は、まずあなたが契約している日本の携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)の交換機に接続されます。
- この時点では、Aさんには「日本国内の携帯電話にかける通話料」が発生します。ここまでは、いつもと同じです。
- 【ステップ2:日本から海外への「転送」】
- あなたの携帯電話会社は、「Hさん(あなた)は今アメリカにいるな」という情報を把握しています(これを国際ローミングと言います)。
- そこで、携帯電話会社はAさんからの電話を、日本の交換機から、あなたが滞在しているアメリカの提携通信会社のネットワークまで「転送」します。
- この「日本からアメリカまでの国際転送(国際電話)」にかかる費用こそが、あなたが負担する「着信料」の正体です。
- 【ステップ3:海外での着信】
- 日本の携帯電話会社から転送された電話が、アメリカの通信ネットワークを経由してあなたのスマートフォンに届き、呼び出し音が鳴ります。
- あなたが出ると通話が開始され、その瞬間から1分ごと、あるいは30秒ごとに「着信料」が加算されていきます。
つまり、あなたが海外で負担する「着信料」とは、本来なら存在しなかったはずの「日本から海外への通話料」を、あなたが肩代わりしているようなものなのです。 日本にいる友人Aさんは、あなたが海外にいることを知らなくても、いつも通り国内通話料を支払うだけ。その裏で、あなたには国際転送料金が静かに課金されている、というわけです。
この仕組みを知っているか知らないかで、通話に対する意識が大きく変わりますよね。
主要キャリア別!海外での着信料金はいくら?【2025年版】
では、実際に海外で電話に出ると、具体的にどれくらいの料金がかかるのでしょうか。この着信料は、滞在している国・地域や、契約している携帯キャリアによって大きく異なります。
ここでは、主要4キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)の、人気の渡航先における1分あたりの着信料金を比較表にまとめました。
【主要な国・地域における海外着信料金(1分あたり)】
滞在国 | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
アメリカ(本土・ハワイ) | 175円 | 165円 | 175円 | 無料※ |
韓国 | 70円 | 100円 | 70円 | 無料※ |
台湾 | 145円 | 125円 | 145円 | 無料※ |
タイ | 100円 | 165円 | 155円 | 無料※ |
中国 | 190円 | 165円 | 195円 | 無料※ |
イギリス | 90円 | 130円 | 95円 | 無料※ |
フランス | 90円 | 130円 | 95円 | 無料※ |
イタリア | 90円 | 130円 | 95円 | 無料※ |
※2025年8月時点の各社公式サイトの情報に基づきます。料金は変更される可能性があるため、渡航前に必ずご自身のキャリアの公式サイトで最新情報をご確認ください。
※楽天モバイルの「Rakuten Link」アプリ利用者間の通話は、データ通信を利用するため海外でも発着信ともに無料です。ただし、OS標準の電話アプリへの着信は料金が発生する場合があります。詳細は後述します。
キャリアごとの特徴と注意点
- ドコモ (WORLD WING)
- 着信料は国によって細かく設定されています。ahamoユーザーも、海外での通話料・着信料はドコモのWORLD WINGに準じた料金がかかります。ahamoの月額料金に海外通話料は含まれていないため、注意が必要です。
- au (世界サービス)
- auも国ごとに着信料が設定されています。オンライン専用プランのpovo2.0では、海外ローミングのトッピングを購入すればデータ通信は可能ですが、音声通話・SMSは利用できません。
- ソフトバンク (世界対応ケータイ)
- ソフトバンクも同様に国ごとの料金体系です。LINEMOは海外での利用に対応していません。
- 楽天モバイル
- 楽天モバイルは非常に特徴的です。
- 【Rakuten Linkアプリ利用時】: Rakuten Linkアプリ同士であれば、海外にいてもデータ通信を利用して電話をかける・受けるため、通話料・着信料ともに無料です。これは非常に大きなメリットです。
- 【OS標準の電話アプリへの着信】: 相手が通常の電話(固定電話や他社ケータイ)からあなたの番号にかけてきた場合、OS標準の電話アプリで着信します。この場合の着信料は、楽天モバイルの公式サイトで「国・地域別料金」として定められており、無料ではないので注意が必要です。しかし、多くの国でRakuten Linkを利用することで、この料金を回避できます。
- 楽天モバイルは非常に特徴的です。
表を見るとわかるように、アメリカ(ハワイ含む)に滞在中に10分間の電話に出てしまうと、約1,700円もの料金が発生してしまいます。ただの近況報告のつもりが、思わぬ高額請求に繋がる可能性があるのです。
もう騙されない!海外での電話代を賢く節約する5つの鉄則
「じゃあ、海外では一切電話に出られないの?」と不安になった方、ご安心ください。これからお伝えする5つの鉄則を実践すれば、無駄な着信料を支払うことなく、日本とのコミュニケーションを賢く、そして安価に保つことができます。
鉄則1:電話は出ない!「LINE通話」でかけ直すが最強
これが最も重要かつ効果的な方法です。知らない番号はもちろん、知っている人からの電話であっても、海外滞在中はむやみに電話に出ないことを徹底しましょう。
そして、用件を確認したい場合は、Wi-Fi環境に接続した上で「LINE」「FaceTime(iPhone同士)」「Google Meet」といったデータ通信を利用するIP電話アプリで、こちらからかけ直すのが正解です。これらのアプリを使えば、通話料は一切かかりません。(利用するのは契約しているデータ通信量のみです)
多くのホテルやカフェ、空港では無料のWi-Fiが提供されています。これらを活用すれば、コストゼロで日本と連絡を取り合うことが可能です。
鉄則2:「機内モードON+Wi-Fi ON」を基本設定に
意図しない着信やデータローミングを防ぐために、海外滞在中のスマートフォンの基本設定は「機内モードをONにし、Wi-FiだけをONにする」のがおすすめです。(正直これは海外旅行における鬼鉄則です!)
- 機内モードをON
- これにより、携帯電話の電波(音声通話、SMS、モバイルデータ通信)がすべて遮断されます。つまり、電話の着信自体がなくなるため、着信料が発生する心配はゼロになります。
- Wi-FiをON
- この状態でWi-Fiに接続すれば、インターネットの利用や、前述のLINE通話などは問題なく行えます。
この設定は、バッテリーの節約にも繋がるため、一石二鳥の賢い使い方です。
鉄則3:「留守番電話サービス」の設定に潜む罠を知る
「電話に出られないなら、留守番電話に設定しておこう」と考える方もいるでしょう。しかし、ここにも注意が必要です。
海外滞在中に着信があり、それが留守番電話サービスに接続された場合、「日本から海外のあなたへ転送し、さらにそこから日本の留守番電話センターへ転送する」という複雑なルートを辿ることがあります。この場合、通話していなくても高額な着信料・転送料金が発生してしまうキャリアがあるのです。
対策としては、渡航前に留守番電話サービスを一時的に停止しておくのが最も安全です。キャリアのマイページやお客様センターで簡単に設定できますので、出発前に必ず確認しましょう。
鉄則4:緊急連絡は「SMS」を活用する

短い用件であれば、SMS(ショートメッセージサービス)を利用するのも一つの手です。
- 受信: 多くのキャリアでは、海外でのSMS受信は無料です。
- 送信: 送信は1通あたり100円程度の料金がかかりますが、長電話になるよりは安く済みます。
「電話ありがとう!今海外だからLINEで連絡します」といったように、SMSで一次対応し、その後のやり取りはIP電話に誘導するのがスマートです。
鉄則5:海外用のeSIM/SIMを賢く利用する
これは少し上級者向けですが、より快適なネット生活を送りたい人におすすめです。
現地の通信キャリアが提供する、データ通信がメインの旅行者向けeSIMやSIMカードを利用します。
これを日本のSIMとは別に利用することで、データ通信は安価な現地プランを使い、日本の電話番号は緊急時のみ着信できるようにしておく、といった使い分けが可能です。データ通信専用のeSIMであれば、そもそも日本の電話番号のローミングは発生しないため、意図しない着信料の心配もありません。
前回の記事で解説した「Grab/Bolt」の利用など、現地でのデータ通信を多用する予定がある方には特におすすめの方法です。
タイに行かれる方は是非以下の記事も確認してください!
まとめ:知識があなたのお金と旅を守る
海外で日本の電話番号にかかってきた電話に出ると、「着信料」が発生する。この事実と、その背景にある「国際転送」という仕組みをご理解いただけたでしょうか。
最後に、あなたの海外旅行をより安全で経済的なものにするためのポイントをまとめます。
- 海外での着信は有料! 日本からの電話を海外のあなたへ「転送」するための料金が、あなたに請求されます。
- 料金は国とキャリア次第。 人気の渡航先でも1分100円~200円程度かかることを認識しておきましょう。
- 基本は「出ない」! Wi-Fi環境下で「LINE通話」などを使ってかけ直すのが最も賢く、安価な方法です。
- 「機内モードON+Wi-Fi ON」を習慣づけ、意図しない着信と高額請求を防ぎましょう。
- 留守番電話サービスは渡航前に停止するのが安全策です。
海外旅行という非日常の体験は、不慣れなので私たちを少しだけ不注意にさせることがあります。「少しくらい大丈夫だろう」という油断が、帰国後の高額請求という残念な現実に繋がることも少なくありません。
しかし、今日ここで得た知識があれば、もう大丈夫です。あなたは賢く通信手段を管理し、お金の心配をすることなく、目の前の素晴らしい景色や体験に100%集中することができます。
この記事が、あなたの次なる冒険の心強いお守りとなることを願っています。 それでは、安全で素敵な旅を!
参照文献
- NTTドコモ. (閲覧日: 2025-08-15). 海外でのご利用料金 : 電話. NTTドコモ公式サイト. https://www.docomo.ne.jp/service/world/roaming/charge/
- au/KDDI. (閲覧日: 2025-08-15). 海外でのご利用上のご注意. au公式サイト. https://www.au.com/online-manual/kyv43/m_12_00_09.html
- ソフトバンク. (閲覧日: 2025-08-15). 海外旅行中に電話をする場合、自分と相手にどのように料金が発生しますか?. ソフトバンク公式サイト. https://www.softbank.jp/support/faq/view/11399
- 楽天モバイル. (閲覧日: 2025-08-15). 国際通話(海外でのご利用方法). 楽天モバイル公式サイト. https://network.mobile.rakuten.co.jp/guide/international-call/overseas/
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